個別指導の効果を倍増させる受験戦略コーチング
アシリで採用している「コーチング」のシステムについて、いろいろと興味深い話を聞いた内容をお届けします。「コーチング」とは、単に教えることとは、どう違うのでしょうか。「個別指導におけるコーチング」の極意とは?
目次
生活上の問題点を放置しない。導いて学習時間を伸ばす習慣に。
一般的なコーチングの場合、現状から離れて人生レベルの話題を交わし、目標設定から行います。ただし、受験生の場合、それをやってしまうと、あまりにも突飛になってしまいます。人生レベルの話が、受験の先にある目標だったらいいんですけど。将来の夢などを勘案しつつ、受験のコーチングの場合は、志望校の設定というのを目標設定にしています。
私はコーチングの資格も持っているのですが、一般的なコーチングの基本的なスタンスは、こちらから情報を与えるというものではなく、相手からアウトプットを引き出していくというものです。私は、受験生に合わせて、とりわけ「一緒に考える」というやり方も採っています。まず最初にやっているのは、学習プランニングといって、年間単位の計画を立てることです。その中でとりわけ大事なのは、「日々の勉強できる環境を整える」という事だと思っています。要は、授業を受けるだけで合格はできないのであって、授業以外の勉強時間や自習時間のほうが圧倒的に長いので、いかに授業以外の勉強時間を確保できるかにかかっています。
受験に成功できない子は、「年間学習計画の立て方」や「日々の勉強環境の整備と勉強時間の確保」ができていないのですが、それだけでなく、それらができていないことに無自覚であることが多いです。したがって、「勉強はやってるんだけど、なぜか成績が上がらないな」という感触を持っている子が多いのです。それらの子に、コーチングを通して「気づき」を与えることも、非常に重要です。
たとえば、「今週1週間、勉強はどんな感じだった?」と質問して、「いや、なんか出来なかったんですよね」という答えがよく返ってきます。普通であればそこでやり取りが終わりになるのですが、「じゃあ、出来なかったって、どんな感じなのかな?」と掘り下げていくのです。これをチャンクダウンというのですが、「では、月曜日は、勉強はどんな感じだった?」と続けると、「実は、月曜日は、朝、起きれなかったんです」という答えが返ってくるとします。そうしたら、「じゃあ、月曜日は、朝起きれたら、勉強できたのかな?」と続けると、「出来たと思います」と返事がきますよね。あるいは、生徒さんのほうから、「平日は頑張れるんだけど、日曜日に勉強ができない」と言われた場合は、「じゃあ、どうやったら日曜日も頑張れるか、一緒に考えよう」と持っていきます。
今まであった例では、「日曜日は世間的に休みだから、だらだらしてしまう」というケースです。そのような場合、「じゃあ、日曜日は朝起きたら、とりあえず見た目を気にしないで、近所の喫茶店に行こう」と提案します。そして、「参考書を持って近所の喫茶店に行って、そこで勉強できたら勉強すればいいし、気分が乗らなかったら帰ってきていいよ」などと提案するのです。そうすると、喫茶店に行けば、多かれ少なかれ勉強できるものなんですよ。たとえガッツリ勉強できなくても、1〜2時間は勉強できるので、「あ、こうすれば勉強できるんだ」と本人も気づきます。そのようにして、気づきを与えていくわけです。そういう気づきを与える機会を、日々の面談の中などで、定期的に築いていきます。
個別指導の効果を倍増させる実行力を高めるコーチング
大前提として、個別指導というのは、自己管理能力が低く、学習計画を立てる能力が低い生徒さんが来ます。「個別指導は手厚いサポートが受けられる」ということでいらっしゃるのですが、個別指導というのは、授業時間が全てではなくて、授業時間は課題の洗い出しをして、1週間のプランニングをするための授業、といった性格が強いです。
したがって、「主従関係」で言いますと、「従」が授業時間になり、「主」が7日間の時間の使い方を決めること、ということになります。この「7日間の時間の使い方」に関してテコ入れする必要があると感じることが非常に多いです。プロ講師はキャリアと経験があるため、「こういう学力バランスの子だったら、こういう学習経路を取ればいい」という判断は、当たります。ただ結果に差が出るというのはどういうことかというと、それをどれだけやり切れるかに違いがあるという事なのです。
具体的には、1週間の宿題をやり切れるかで差がついて、課題をやり切れなかった子が不合格になることが多いです。そのため、1週間の時間の使い方にテコ入れしなければならないわけです。本人も、「1週間で何をやらなければならないか」は分かっているわけです。具体的に何をやらなければいけないかはわかっていても、実行力が低いので、やりきれないわけですね。その実行力を高めるために、コーチングを用います。それをアウトプットさせて、表や紙に書きださせて、心理学的に「強制」の契機を作ってあげるわけです。そのようにして、結果的に学習量を増やすことを意図しています。要は、三日坊主にさせない、という事です。
適切な強制環境をつくり、1週間の目標を共に達成する。
3日間であれば、自分の論理と自分の実行力の範囲で、勉強を消化できるというケースがあります。でも、それ以上になると、「これをやらなきゃいけない」というのは頭では分かっていても、実行力不足から、勉強をやり切れないのです。それならば、その部分を、コーチングで約束した「シート」や、「勉強をやれないなら、こうすればいいのではないか」とディスカッションしたアドバイスで、「1週間の時間の使い方」のレベルにおいて、刺激を与えて「管理」していきます。
具体的には、1日8時間の勉強をしているけれど、3日坊主になってしまって、4日目以降は続かなかった場合、コーチングの中で、失敗の原因や要素を洗い出していきます。たとえば、「なんか、この日は集中できませんでした。1時間しか勉強できませんでした」という生徒さんが多いのですが、それはもしかしたら、客観的に判断して環境の原因からきているのかもしれないので、「次回、また午前中に1時間くらいで集中が切れてしまったら、午後から図書館に移動してください」と指示します。
そのように、その都度アクションを考えて、自動的に最適な方向に動けるように、シフトさせていきます。それがないと、集中が切れたときに、勉強をやめてしまうという事態が起こりえます。事前に、「このシチュエーションになった時、どうすればいいか」が頭の中に入っていれば、常にそれに対する対応策が思い浮かびます。そして、その対応策を取らねばならない理由や必要性も、生まれてくるわけです。「約束したんだよね、こういう時、次回からこうするって」と思い起こすわけです。
そういったふうに、1週間単位で振り返ることによって、1週間単位で「半ば強制力を伴って」時間の使い方が決められていくわけです。「次回、勉強を途中でやめたくなったら、どうするんだっけ」といった形です。勉強が続かなかったことに対して、叱るわけではないです。「集中が切れて、勉強をやめたくなった」ということだったら、「次回、勉強をやめたくなったら、こういう風にしようね」と約束を取り付けていくわけです。
したがって、1週間のサイクルでの面談を繰り返せば繰り返すほど、当該アクションに対して最適の行動をとれるようになっていくわけです。使い古された言い方をすれば、「PDCAサイクルの確立」といった感じのものです。「こういうふうになったら、こうする」というように決めていきます。
その中で大事なのは、「押しつけ」は基本的にいけないという事で、あくまでフォローになります。本人を、「こういうような状況になったら、こうするんだ」という答えを知っている状態にするわけです。それへのサポートなので、「なんで出来なかったの」とは叱りません。
「こうなったら、どうすれば良いのかな」という問いかけが中心であり、本人が「おそらく、こういう行動をとればいい」と答えを知っているときは実行すればよいですし、時に当てが外れた時には「こういう行動に移せばいいんじゃない」と採るべきアクションへのアドバイスを行います。
それを先ほどの心理学やコーチングの理論にのっとって実践していくのであって、「気力や精神力」といった精神論に頼ることなく、「普段、こういう時は、こうすればいい」といった事柄をターゲットにしつつ、「1週間の時間の使い方」に関する実行力を高めていきます。
オンラインでは必要不可欠なコーチング
当然、合格するための合否を分けるという事を目的としたコーチングです。決して、趣味や塾の個性の表出ではなく、合格するためのコーチングです。
そしてまた、合格するために必要不可欠なコーチングとなります。なぜなら、かつては、塾に来ることで全てのコーチングの要素が満たされていました。つまり、受付の人と笑顔で会話を交わす、自習している生徒と雑談する、顔見知りの他の先生と会釈する、それから駅まで行って電車に乗る、といった「刺激を受ける」事が含まれます。それが、コロナによりオンライン受講になってしまうと、話すのがお母さんだけというケースなど、非常に狭い人間関係になります。
人間というのは、動いて体を動かすということが長いDNAの歴史で脳裏に刻み込まれていて、運動するのが当然の体になっているにもかかわらず、コロナ禍の環境では家という環境で過ごすことになるのです。そのため、細分化していえば、自習時間を増やし、かつ学習の質を高めること、体を動かして規則正しい生活を送ること、実行能力や学習管理能力を高めることを目的としたコーチングになります。
さらにブレイクダウンしますと、週次の学習計画を出させて、「なぜ、この日は勉強時間が短かったのか」「なぜ、この日は朝起きるのが遅かったのか」「なぜ、この日は夜寝るのが遅かったのか」などを、一方的に押し付けるのではなく、本人からの発言を引き出す形で確認していきます。本人からのアウトプットや質問を通して課題を洗い出していき、時には一緒にディスカッションして、一つずつ「アドバイス」や「気づき」を与える形でフォローしていくわけです。
そしてまた、合格するために必要不可欠なコーチングとなります。なぜなら、かつては、塾に来ることで全てのコーチングの要素が満たされていました。つまり、受付の人と笑顔で会話を交わす、自習している生徒と雑談する、顔見知りの他の先生と会釈する、それから駅まで行って電車に乗る、といった「刺激を受ける」事が含まれます。それが、オンライン受講になってしまうと、話すのがお母さんだけというケースなど、非常に狭い人間関係になります。
人間というのは、動いて体を動かすということが長いDNAの歴史で脳裏に刻み込まれていて、運動するのが当然の体になっているにもかかわらず、コロナ禍の環境では家という環境で過ごすことになるのです。そのため、細分化していえば、自習時間を増やし、かつ学習の質を高めること、体を動かして規則正しい生活を送ること、実行能力や学習管理能力を高めることを目的としたコーチングになります。